日欧商事㈱
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~環境の持続可能性について~ワインは、ブドウを原料とした農作物です。その年の気温や降水量、日照量などにより、味わいが変わるように、ブドウ栽培は環境の変化から多大な影響を受けます。その環境の変化は、近年の気候変動によって引き起こされており、その一例として地球温暖化が挙げられます。地球温暖化は我々の普段の生活でも感じるほど。地球温暖化による影響で代表的なのは、収穫時期の変化です。イタリアの2022年夏は雨の少ない酷暑だったため、造り手は、例年より早く収穫を始めました。収穫時期は年々早くなってきていますが、それが特に顕著な年でした。収穫時期の変化の他にも、熱波による山火事や洪水や季節外れの降雨、霜害や雹害など地球温暖化がもたらす悪影響は年々深刻化し、ワイン生産者を悩ましています。地球温暖化が進むと、今の産地ではブドウ栽培が困難になる可能性もでてくるかもしれません。これ以上危機的な状況にならないためにも、生産者にはサステナブルな取り組みが必要とされているのです。持続可能なブドウ栽培やワイン造りをするには、畑における土壌の活性化と生物多様性の保全、再生、CO2の削減、水資源の管理などが非常に大切になります。では、実際、どのような取り組みがされているのでしょうか?JETが取り扱うワイナリーの取り組みの一部をご紹介しましょう。2010年、国際連合は“世界バイオダイヴァーシティ・イヤー”と掲げ、世界バイオダイヴァーシティ協会は、“バイオダイヴァーシティ・フレンド”という、世界初となる、農業における生物多様性を保護する承認制度を設けました。“バイオダイヴァーシティ・フレンド”は、生物多様性を保護し、増加させ、商品の品質自体の向上を目的とする生産者が遂行する取り組みです。トレンティーノ・アルト・アディジェ州のフェッラーリ社、およびテヌーテ・ルネッリはbiodiversity friend(バイオダイヴァーシティ・フレンド)に2015年より認定されています。生物多様性の保全、再生のための活動として挙げられるのは、土壌の肥沃性の再構築、水質の管理、森林の保護、ミツバチの保護、土壌や空気の質の管理などです。フェッラーリ社は、畑の生物多様性のモニタリングのため、ミツバチを飼育しています。畑の緑肥の一つとして、蜜源植物を植え、ミツバチを迎えます。ミツバチの活動は、地球上の農業には必要不可欠で、また野生植物の生物多様性の保護、しいては自然界全てのバランスを保つための、貴重な活動を行っています。また、ミツバチの存在は、その環境の健全性を示しています。ミツバチの存在は環境の指針そのものなのです。トスカーナ州のカステッロ・ディ・モンテポ社では、少し変わったサステナブルの取り組みをしています。こちらのワイナリーは、有機の認証は取得していません。有機にこだわらず、テクノロジーを駆使して持続可能な農業を実践しています。畑には天気を予測するコンピューターシステムが配置され、悪天候の時にはブドウが被害を受ける前に対処が可能です。また、畑の管理にドローンを利用しているのも特筆すべき点です。ドローンには、ブドウの水分量や糖度、また、病気や土壌の状態をチェックできる機能がついており、ドローンから取得したデータが逐次栽培管理者に送られるシステムになっています。有機栽培による土壌のケアは重たい有機肥料をトラクターに載せて畑に運ばなけ~経済と社会の持続可能性について~ワインに関わる持続可能性というと、環境がフォーカスされがちですが、環境だけではなく、働く人がハッピーで長く働ける労働環境を作ることも大切です。シチリア州プラネタ社では、社員とよい関係を築いています。そのおかげで、世代を超えて家族代々がプラネタ社で働くことが珍しくありません。日本でも仕事をしたことがある、デボラ・リポルテッラさんの家族も2世代続くプラネタファミリーです。デボラさんのお父様、フィリッポさんはプラネタ社の創業当時から45年以上もの間、栽培者として働いており、お兄様のカロジェーロさんは醸造家として働いています。そして、デボラさんは日本で仕事をしたのちにシチリアに戻り、ホスピタリティ担当として、日本からのお客様を温かく迎えています。ればなりません。重いトラクターは土壌を踏みつけ、固くしてしまいます。トラクターからのCO2排出においては言うまでもありません。モンテポでは、土を踏みつけることのないドローンでいち早く病気を察知し、素早い処置を可能にしています。スピードと正確性を兼ね備えた近代的な農業の姿です。ワイナリーにおいては、CO2削減、エネルギーや水資源の管理を徹底しているワイナリーが増えてきています。ヴェネト州のマァジ社は、イタリア環境省のVIVA Sustainability and Culture認証を取得しています。このプロジェクトは、ブドウ樹からワイン供給チェーンまで、水や二酸化炭素排出量の予測を含む、持続可能なパフォーマンスの測量を対象としています。マァジ社では、ワイナリーにおける必要なエネルギーの15%はソーラーパネルにより産出され、購入エネルギーの一部は、再生可能資源を使用しています。また、生活用水と工業用水の加温システムは、太陽エネルギーとメタンガスによって捻出され、廃材はリサイクルに出される前にタイプ別に分けられます。また、ボトルを軽量化し、再生紙ラベルを使用した環境にやさしいワインも誕生しています。プラネタ社はそれだけではなく、ワイナリーのある村が過疎化しないように、雇用を生み出しています。近年では、マメルティーノの生産地“カポ・ミラッツォ”がある町ミラッツォで、子供の教育へのチャリティー活動をしたり、エトナ、メンフィ、ノート、パレルモの4都市で野外ジムを開催したりと、地域の活性化にも貢献しています。また、生まれつきエイズを持つアフリカの子供たちを支援する“WINE FOR LIFE”に参画し、売上金の一部を寄付する社会貢献活動も長年行っています。もちろん、持続可能な環境づくりにも注力をしており、プラネタ社は2011年にSOStain(シチリアにおけるブドウ栽培のためのサステナビリティ・プログラム)を立ち上げ、プログラムリーダーとして活躍しています。ここでは、一握りのワイナリーしかご紹介できませんでしたが、JET取り扱いのワイナリーはすべてサステナブルの取り組みをしております。この美しい地球を未来の世代に残すために、そして、地球上の人々がずっと笑顔で暮らせる未来のために。日本GPの舞台である三重県鈴鹿市といえば、世界的に有名なモータースポーツシティですが、その“世界の鈴鹿”にF1®が3年ぶりに帰ってきました。パンデミックの影響で2年間開催が見送られたということもあり、今年の日本GPに懸ける日本のF1®ファンの情熱は凄まじく、あっという間にチケットが売れ、過去10年で最も多くのオーディエンスを迎えたレースとなりました。フェッラーリがF1®公式スパークリングワインとなって以来、初めて開催される日本GPということもあり、フェッラーリ社からはマッテオ社長をはじめ4名が来日。約30年来のパートナーである日欧商事株式会社と共に、ファンゾーンにフェッラーリ・バーを出店、日本全国そして世界各国から集まったF1®ファンに対して、公式スパークリングワインのフェッラーリを大いにアピールし味わっていただきました!もちろん、このバーの出店だけではなく、フェッラーリはF1®の最もプレステージの高いホスピタリティ・エリアでもある“パドック・クラブ”でも大活躍!バーコーナーをはじめ、全てのテーブルには冷えたフェッラーリがセッティングされ、世界のセレブたちに振舞われました。フェッラーリといえば、乾杯の一杯としてだけではなく、食中酒としての魅力も溢れるフードフレンドリーなワインで、お食事に寄り添うよう、ガス圧など、特別な配慮のもと造られているワインです。美味しいお食事と共に、全てのテーブルにて振舞われるフェッラーリを見るのは本当に感無量でした!世界的に有名なセレブたちで賑わうパドック・クラブでは、突然有名人に出くわしたり、伝説的ドライバーが登場したりなど、驚きと興奮の連続です!また、パドック・クラブでは、ルネッリ家のウンブリアのワイナリー、テヌータ・カステルブォーノから新しくリリースしたばかりの「ルンガ・アッテーザ」を、TOPワインジャーナリスト宮嶋勲氏の通訳でマッテオ社長からお披露目もありました!このワインは2023年度のBIBENDAの表彰式で10本選出された年間最優秀ワインのうちの1つとして名を連ねました。(P.31参照)さて、F1®のレースチケットの中でも最も高額なこのパドック・クラブでは、ゲストに対して様々なアクティビティが用意されています。ピットレーン・ウォークでは、文字通りピット・レーンを歩き、各チームのガレージを見たりすることが出来ます。チームの皆さんが車を調整していたり、準備体操をしたり、タイヤ交換の練習をしていたりなど、そして現役ドライバーに遭遇したりなど!目の前で大音量かつ大迫力、レース前の緊張した状態の各チームの様子を見ることができます。今回はフェッラーリと同じイタリアのチームであり、F1®の伝統チームでもあるScuderia Ferrariが特別に至近距離で車を見せてくださったり、Alfa Romeoがガレージを案内してくださったり、F1®ファンにはたまらないスペシャルな体験を提供してくださいました。今回の日本GPには岸田首相も駆けつけ、また若い世代のPOPスターやインフルエンサーも多くいらしていましたので、往年のコアなF1®ファンだけではなく、新しいファン層を取り込み、日本のF1®人気も再燃するのではないかと期待されています!この新しい世代によるF1®人気を後押ししているのは、間違いなくNetflixで配信しているF1®シリーズのドキュメンタリーシリーズ「Formula 1:栄光のグランプリ(原題:Drive to Survive)」ではないでしょうか。レースの内容だけではなく、各チームの舞台裏やドライバーの心情なども描かれ、一つのヒューマンドラマとして視聴者を虜にする展開で大人気となり、世界的に新たなF1®のファン層を獲得しています。日本語字幕でもご視聴いただけますので、是非まだ観ていない方は是非チェックしてみてくださいませ!さて、話をワインに戻しますが、今回の日本GPで大活躍したワインがあります。それは、フェッラーリ社が世界中のレースのうち、最もアイコニックなサーキットに捧げるために特別に造った「フェッラーリ F1®リミテッド・エディション“スズカ”」です。予選の日には、鈴鹿市役所を訪問したフェッラーリのマッテオ社長より鈴鹿市の末松則子市長にプレゼントされ、そして決勝戦前には岸田首相にも贈られ、更に鈴鹿サーキットを訪れたF1®ファンにも大人気だったワインです!この「フェッラーリ F1®リミテッド・エディション」はエチケットに各サーキットのコースが描かれており、他にも、スピードの殿堂ともいわれ世界最速のコースを誇るイタリアの“モンツァ”、F1®発祥の地でもある“シルヴァーストーン”、近年人気急上昇中の“マイアミ”そして“メキシコ・シティ”が造られています。今年にはなんとこのコレクションにイタリアのエミリア・ロマーニャGPの“イモラ”や刺激的なナイトレースが期待される“ラスヴェガス”が加わるそうで、こちらも楽しみですね!本年の日本GPでは、Red Bullのマックス・フェルスタッペン選手が見事優勝し、年間チャンピオンが鈴鹿で決定するという劇的な展開となりました。来年は史上最多の24戦が予定されているF1®ですが、是非とも来年もフェッラーリを飲みながら、エキサイティングなレースを楽しみましょう!バイオダイヴァーシティ・フレンド認証ロゴミツバチとフェッラーリ社の畑カステッロ・ディ・モンテポの畑とドローンVIVA認証ロゴマァジ社のソーラーパネルアレッシオ・プラネタ氏(左)とカロジェーロ・リポルテッラ氏(右)アレッシオ・プラネタ氏(中央右)とデボラ・リポルテッラ氏(右)SOStainロゴ大盛況だったフェッラーリ・バー!レースの合間には長蛇の列が!F1のロゴ、FORMULA 1、F1、GRAND PRIXおよびこれらの関連マークはFormula 1会社のひとつである Formula One Licensing BVの登録商標であり、無断複写・複製・転載を禁じます。同じく大盛況だった表彰台フォトブース!たくさんの方が表彰台ボトルと共に記念撮影を楽しんでいました。パドック・クラブのラウンジ全てのテーブルに美味しいお食事と共にサービスされるフェッラーリリリースしたてのワインを、手持ちで持ってきてくださったマッテオ社長(左)。宮嶋勲氏(右)の通訳により特別な場所で、記憶に残るお披露目となりました!「イタリアの偉大な2つのFERRARI、IL FERRARI(スプマンテ)とLA FERRARI(車)」ジュリオ・フェッラーリとエンツォ・フェラーリのお話はこちらから▶マッテオ・ルネッリ氏。今回の来日は、シャンパン&スパークリング・ワイン・ワールド・チャンピオンシップで、史上最多5度目の世界最優秀生産者賞を受賞した直後ということもあり、非常にエネルギッシュに全国各地でフェッラーリ大旋風を巻き起こしました!アルファ・ロメオのガレージで、実際のハンドルを持つフェッラーリのマッテオ・ルネッリ社長(左)と日欧商事ティエリー・コーヘン社長(右)ボタンやツマミの多さに一同驚愕!これらを駆使して走るF1®ドライバーたちがいかに凄いかを再認識しました。Net■ixへ▶鈴鹿市役所を訪問し、末松則子市長(左)にフェッラーリ F1®リミテッド・エディション“スズカ”をプレゼントいたしました。(P.7参照)表彰台で勝利の美酒として振舞われたフェッラーリとマックス・フェルスタッペン選手。シャンパン・ファイトならぬ圧巻の“フェッラーリ・ファイト”を披露してくださいました!動画▶世界中のレースで偉大なるチャンピオンを祝福するフェッラーリ「サステナブル」といえば一般的に、オーガニック製品にまつわる概念のイメージがありますが、その目的は、地球の環境を壊さず、資源も使いすぎず、未来の世代も美しい地球で平和に豊かな生活が続けられる社会を作ることです。その意味は、環境保護はもとより経済活動や社会的影響を含んでいます。フェッラーリが日本GPに初登場!「F1「F1®® 日本グランプリ・レポート!」 日本グランプリ・レポート!」フェッラーリが日本GPに初登場!2021年より史上初、フランス以外の生産者として 初のF1®公式スパークリングワインとして表彰台のチャンピオンに振舞われている、 イタリア最高峰のスパークリングワイン生産者フェッラーリ。2019年以来3年ぶりの開催となったF1®日本グランプリのレポートを、 5年ぶりに来日したフェッラーリ社のマッテオ社長を通じてお届けいたします!イタリアワイン生産者の「サステナブル0203サステナブル」な取り組み

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